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アサーティブであるということ
 ~ こころのメンテナンス ~
―――★ぴあサポメルマガ1月号★

こんにちは!寒い日が続きますが、みなさんお元気にお過ごしでしょうか?
今回はコミュニケーションの方法のひとつの「アサーション」をご紹介したいと思います。
「自分と相手を大切にする表現技法」であるアサーションを知って、周囲のひととのかかわりにおいて活かしてみませんか?

■目次■
1. はじめに ~感情を飲み込んでしまうということ~
2. 基本的なスキルとしてのアサーション
3.アサーティブな言語表現
4.非言語的なアサーション
5.おわりに

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1.はじめに ~感情を飲み込んでしまうということ~
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早速ですが、普段生活する中で次のようなことはないでしょうか?
●テスト前で勉強したいと思っていたが、友だちに飲み会に誘われた。付き合いが悪いと思われたくなくて、ついつい応じてしまった・・・
●最近忙しくなってきたので、サークルの仕事を頼みたいけど、みんな忙しそう。でも、このままだと自分もパンクしそう・・。どう伝えたらいいだろう。

このように、自分の感情を飲み込んでしまうこと、あるいは感情を抑えてしまうことはないでしょうか。つまり、それを言わないでいたほうがいいと心のなかで判断してしまうのです。
アサーションとはこのような場面において、相手も尊重しつつ自分の気持ちを伝えるためのスキルです。今回は、そんなスキルとしての「アサーション」を解説していきます。

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2.基本的なスキルとしてのアサーション
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ここでは、1)アサーションというスキルがあること、2)それがどのような場面において有効かを説明します。アサーションについての解説本として有名なのが、平木典子さんの『アサーション・トレーニング――さわやかな〈自己表現〉のために』という著書です。このメルマガでもこの著書に依拠して説明していきます。

アサーションとは「自分と相手を大切にする表現」のスキルであり、学習し身につけられるものであると考えられます。
ではアサーションはどのような場面において役立つのでしょうか?それは、「相手にも配慮しつつ自分の気持ちを伝えることが求められる場面」に役立つと考えられます。たとえば、相手の要求に対して断るような場面です。

わたしたちは、人間関係の持ち方にそれぞれ傾向があり、それは大きく次の3つに分類されます。
(1)非主張的、ノン・アサーティブ:自分よりも他者を優先し自分のことを後回しにするタイプ
(2)攻撃的、アグレッシブ:自分のことだけを考えて他者を踏みにじるタイプ
(3)アサーティブ:第一と第二の黄金率ともいえるあり方で、自分のことをまず考えるが他者にも配慮するタイプ(15-16頁)

自分がどのタイプであっても、相手にも配慮しつつ自分の気持ちを伝えることが求められる場面は訪れるでしょう。
例えば、すぐ怒ってしまいがちな人。そういう人は、自分が嫌なことをされた時に、すぐカッとなってしまったりしがちである。このような人はアンガーコントロールも必要ですが、アンガー・コントロールの一種としてのアサーションも必要です。
つまり、相手に嫌な思いをさせず、きわめて冷静な仕方で自分の意図や本当はこういう事だったのですよ、ということを伝えることです。
他の例としては、非主張的なコミュニケーションを取ってしまいがちな人も挙げられます。そうした人は、気をつけないと、自分の本当は不快な思いをしているということを、伝えることができません。
例えば自分の「本当は触れてほしくない」ことに対してネタにされてしまった時、悲しい思いをするかもしれません。そうしてネタにされた時に対して、どうしたら、自分は笑っていても本当は傷ついているのだということを相手に分かってもらうことができるのでしょうか。

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3.アサーティブな言語表現
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平木は言語表現のアサーションを次の二つに分類します。
(1)日常会話におけるアサーション。
平木はこれを「メンテナンス」のためのアサーションと呼んでおり、「人間関係をつくり、維持すること」をその目的、機能としています。
「その代表的なものが挨拶や思いやり、感謝の言葉かけ」です(109頁)。こうした言葉かけがあってはじめて人間関係は良好な状態を維持されます。つまり、人間の生活には、単に用件や問題解決的な関わりだけでは満たしきれない要素があると考えられます。

(2)課題達成・問題解決のためのアサーション。
この例として会議の場において何かを決めたり話し合ったりする場合に役立つ方法であるDESC法が挙げられます。このDESCは、D=describe(描写する)、E=express,explain,empathize(表現する、説明する、共感する)、S=specify(特定の提案をする)、C=choose(選択する)に分けられます。
この4ステップを通して事前に「台詞づくり」を行うことが、課題の達成に役立つと考えられます。
例として、喫茶店で煙草をふだん吸わない人が、喫煙者と二人で喫煙席の近くの禁煙席に座ってしまった時のアサーションの仕方が挙げられます。

「ここは喫煙席に近いので、煙が流れてきますね(D)。私は煙草の煙が苦手で、のどが痛くなってきました(E)。あなたは煙草が吸いたくなっているかもしれませんね(E)。そろそろここを出ませんか(S)。そうすればあなたは煙草の誘惑から逃れられますし、私は助かります(肯定的結果に対するC)。もし、あなたが一服したいのでしたら、あちらの席に行って一服してから、喫煙席から離れたところに移りませんか(提案が受け入れられなかった場合のC)」(118-119頁)。
この例からみるに重要なことは、Dで互いの共通了解を作り、Eで自分の気持ちを率直に伝え、Cで相手の「イエス」あるいは「ノー」の結果を予測し、両方への対応を事前に決めておくのが良いということです(120頁)。事前に傷つくのを避けるためにも、Cがもっとも重要であるとも考えられます。

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4.非言語的なアサーション
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非言語的な表現に関して考える余地も多くありますが、ここでは大事なことを1つ述べるにとどめます。
それは、感情や気持ちはアナログなのだが、言葉はデジタル信号であるということです。この両者をつなぎ合わせることで、私たちはより良く自己を表現し、提示することができます。
知的活動への没頭は、言葉での表現を増やすために私たちをデジタルに従属させることになる可能性があります。
しかし、言葉だけのやり取りだけでは率直な気持ちが伝えられず、自分の感情を大切にすることにはならないと考えられます。
では、どうすればよいのでしょうか。平木いわく、「非言語表現を動員して表現する」ことが求められるそうです(152頁)。
最近、ネットメディアを代表として、非言語表現を用いない「言葉だけ」のやり取りが増えてきていますが、それだけでは自分の感情を大事にすることにはならないでしょう。そこで例えば、うれしい時はうれしいというサインを、悲しい時は悲しいというサインを、非言語表現を駆使して伝える必要があるでしょう(この役目を果たしているのが、例えば、スタンプという近年のLINEにおけるコミュニケーションの補助ツールであるでしょう)。

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5.おわりに
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重要なのは、言語表現と非言語表現とが矛盾しないような仕方で、自分の感情を伝えるという姿勢です。
この双方が矛盾していると、メッセージはメッセージとしての効果を持たなくなるでしょう。
私たちはさまざまな感情を抱くことがありますが、このアサーションという表現手法を学ぶことによって、すこしは上手に伝えられることが増えるかもしれません。
この手法を学ぶことで、私たちは自らのスキルとしてコミュニケーションをより丁寧な仕方で――とくにセンシティブなことに関しては――誤解を防ぐような仕方で行うことができると考えられます。

【参考書籍・WEBサイト】
平木典子 『改訂版 アサーション・トレーニング――さわやかな〈自己表現〉のために』 東京、金子書房、2009。

【筆者紹介】
総合文化研究科、地域文化研究専攻、修士2年。趣味はインターネットに加えて読書や散歩がある。

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