「新型コロナウイルス感染症に関するストレスについてのアンケート」結果公表②
新型コロナウイルスの感染の長期化に伴い、現在私たちは大学に行けない、友達と会えないなど様々なストレスにさらされています。
そこで私たちピアサポートルームは、普段行っているストレス啓発の活動の延長として、コロナ禍における東大生のストレスの実態やストレス対処方法などを把握するためのアンケートを実施しました。2021年6月24日から7月7日の期間に実施し、526名もの学生にアンケートにご協力いただきました。
今回は第二弾として、アンケートの複数の回答項目を分析した結果を公表します!
※第一弾の結果はこちら
【アンケートの概要】
実施主体:東京大学相談支援研究開発センターピアサポートルーム
回答方法:Webフォームへの回答 (https://ut-psr.net/2021/06/24/stress06/)
実施日:2021年6月24日~2021年7月7日
回答呼びかけ:ピアサポートルームSNS、UTAS掲示板、国際化教育支援室HP、教養学部前期課程HP、新領域創成科学研究科のメーリングリスト
回答件数:ECCSクラウドメールアカウントを持つ東京大学学生(院生・留学生も含む)から526件
【目次】
1.各質問項目間の比較
2.各項目の自由記述のまとめ
3.共起ネットワークを用いた考察(一部)
4.おまけ(ピアサポート活動の紹介)
【1. 各質問項目間の比較】
- Q1-1学年とQ2ストレス度の関係
Q1-1(学年)の回答を元にQ2(ストレス度合い)の回答を分類し、学年別のストレス度を示しました。(なお、回答数が10以下の学年は省略しました。)
各学年別のストレス傾向は全体の回答と大きく外れることはないものの、割合に関して学年別の違いが見られました。特に、博士課程の学生は他の学年に比べてストレスを感じている層が少ないことが指摘できます。なかでも博士一年はストレスを感じている学生(「とてもストレス」、「まあまあストレス」と回答した学生)は約42.5%と、全体の割合である約67.38%とは大きく異なります。さらに博士一年では、ストレスを感じていない学生(「それほどストレスではない」、「全くストレスではない」と回答した学生)も32.5%と最も多いという結果になりました。
一方ストレスを多く感じた学年は学部1年、学部2年、学部4年、修士1年の4学年を挙げることができます。これらの学年の学生のストレスを感じている層は7割を超えています。中でも学部4年の学生は、77.78%もの学生がストレスを感じているという回答をしており、多くストレスを感じている事がわかります。この結果について、学部1年、2年の学生の方が感染症以前の学生生活をおくれていないために、ストレスが高いと予想していたので少々驚きましたが、就職活動や卒業論文と言った現実的な事柄に、感染症の問題が影響しているのかもしれません。この結果は、学部3年生が、4学年の学生と比べ、ストレスを感じている学生が68.08%と若干少ないことからも伺えます。
そして、学部1年、学部2年、修士1年の学生に関しては入学して以降ずっと感染症の影響下にあり、十分な学生生活がおくれていないことがストレスの理由になっているのかもしれません。
- 昨年度と今年度のストレス度合いの比較(昨年Q2と今年度Q2)
今年度新たに「どちらでもない」という選択肢を増やしたため、単純な比較はできないものの、「とてもストレス」「まあまあストレス」の割合はいずれも昨年度より増加しており、コロナ禍の現状に対する不満が高まっていることが考えられます。
- ストレス度合いと行動の関係(Q2とQ1-4)
Q2で4または5を選択した人を「ストレス高群」、1または2を選択した人を「ストレス低群」としました。
ストレス度合いと登校日数
ストレス高群
ストレス低群
高群に比べ、低群では登校回数が0の人の割合が高いことから、家の中にいる方が自分の時間を使えてストレスになりにくいと考えられます。
ストレス度合いと対面授業のコマ数
ストレス高群
ストレス低群
登校回数と同様の結果が示されています。
ストレス度合いとサークル・課外活動数
ストレス高群
ストレス低群
こちらも上二つと同様に低群の方が0の割合が高い結果となりました。
ストレス度合いと外出機会(買い物,交遊,アルバイト等を含む)
ストレス高群
ストレス低群
ストレスの度合いが低い人は、外出機会は多いが登校や課外活動などの活動回数は少ない結果となりました。
この結果は、サークル以外で、1人の時間をうまく使えているということを意味しているのでしょうか。
・ストレス度合いと話す機会の関係(Q2とQ1-5)
上の項目と同様に、Q2で4または5を選択した人を「ストレス高群」、1または2を選択した人を「ストレス低群」としました。
対面で家族と話す
ストレス高群
ストレス低群
高群と低群どちらにおいても、0回と答えた人と5回以上と答えた人で、それぞれ約半数ずつを占めています。対面で家族と話す頻度は、人によって差が大きいことがわかります。ストレス度合いによって分布に大きな差は見られませんでした。
非対面で家族と話す
ストレス高群
ストレス低群
高群のほうが、低群に比べ非対面で家族と話す機会が多いようです。
家族とは対面で話すことに慣れている人が多いかもしれません。その分、チャットや電話など、非対面で家族と話すことにストレスを感じる人もいる可能性があります。
対面で家族以外の人と話す
ストレス高群
ストレス低群
高群のほうが、低群に比べ対面で家族以外の人と話す頻度が少ないようです。
ストレスを強く感じる背景として、友人などと対面で話す機会が不足していることが考えられます。
非対面で家族以外の人と話す
ストレス高群
ストレス低群
高群と低群では、同程度に非対面で家族以外の人と話しているようです。
対面で家族以外の人と話す機会とは異なり、非対面で家族以外の人と話す機会は、ストレス度合いとはあまり関係がないと考えられます。
【2. 各項目の自由記述のまとめ】
・Q3 Q2(コロナ禍でどの程度ストレスを感じていますか)でそう感じるのは、なぜですか?
交友関連の理由でストレスを感じる方が多数いました。具体的に友人や知人にあったり話したりする機会が減った、交友関係を広げることができないなどの理由が挙げられています。また、外出ができなくて、旅行や課外活動など参加できないことを理由として回答していただいた方も沢山います。そのほか、コロナの感染リスクに不安、学校の議題や研究がうまく進まないなどの理由も挙げられていました。
一方、オンライン授業によるメリットを感じ(通学時間が減った、チャットで質問しやすい)、自宅でより有効に時間を活用できたため、ストレスを低く評価した回答も見当たります。
・Q4 コロナ禍で新しく始め、今も続けている習慣(ストレス発散法)はありますか?
在宅が続く中、多くの方々は家で続けている習慣でストレス発散しています。例えば映画や映画、音楽の鑑賞、ゲーム、動画視聴、読書、料理などが挙げられています。そして、在宅ですと、知人と会うのが難しくなる現状に対して、SNSや電話で友人と連絡するのがごく一般になりました。またランニングや筋トレ並びに散歩などの運動、よりいい睡眠をとるなどの回答をしていただいた方も少なからずいます。
・Q5 コロナ禍で活動が制限された2020年4月頃から現在までを振り返って、ストレスはどんな時に強かったですか?
・Q6 コロナ禍で活動が制限された2020年4月頃から現在までを振り返って、ストレスはどんな時に弱かったですか?
【3. 共起ネットワークを用いた考察(一部)】
以下は、皆さんのアンケートの回答結果に基づいて作成した共起ネットワーク図についてご説明します。今回は、ストレス度合いとその理由についての関係性を見るためにQ2とQ3の回答(Q3は自由記述の回答のみ)を用いて共起ネットワーク図を作成しました。
・円が大きいほど出現回数が多い。
・語と語が線で結ばれているかどうかが共起性や関連性の有無を表している
・線の太さが関連の強さを表している
・今回紹介する図は、重複がないように設定しています。
→アンケートの回答の中で多く登場した言葉や、その言葉同士の関連性が、円の大きさや線の太さ、位置関係から視覚的に分かります。
同じキーワードであっても、ストレスの感じ方に違いがあり、全般的にオンライン化によるメリットをより感じているか、デメリットをより感じているか、によってストレスの度合いが異なっていることが分かりました。例えば、「研究」については、在宅の方が作業しやすいという方と、在宅では設備が整っていないため進まないという方でストレスの感じ方が二分化しています。「友人」というキーワードでは、オンライン環境を活用して友人との繋がりを保てる一方で、新しい友人を作ることが難しいといった意見が寄せられました。
また、行動制限や感染対策、現状・将来への不安などがストレスの原因として関係性が見られました。
【4. おまけ(ピアサポート活動の紹介)】
ピアサポートルームとは?
ピアサポートルームは、東大生が満ち足りた学生生活を送ることを大切にしています。そのために、以下の6つの点に寄与することを目指しています。
- 心身の健康
- 居場所づくり
- 人とのつながり
- 役に立つ情報の交換
- 自己理解の深化
- 多様なものの見方の獲得
ピアサポートルームのHPやTwitter、LINE公式アカウントでイベント告知を行なっています。是非チェックしてください。
- ピアサポートルームHP:https://ut-psr.net/
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