「新型コロナウイルス感染症に伴うストレスに関するアンケート」結果公表-Ⅱ

コロナ禍での大学生活も3年目となり、東京大学においても対面授業が増えてくるなど、私たちの生活は今なお変化を続けています。厳しい行動制限下で感じていたストレスが軽減された人もいる一方で、新たな形のストレスも生じているかもしれません。

そこで私たちピアサポートルームは、普段行っているストレス啓発の活動の延長として、コロナ禍における東大生のストレスの実態やストレス対処方法などを把握するためのアンケートを実施しました。2022年4月20日から5月5日の期間に実施し、329名もの学生にアンケートにご協力いただきました。

今回は昨年度の結果も踏まえて、アンケートの複数の回答項目を分析した結果を公表します。アンケート結果の概要については第一弾として既に公開されています。

アンケートの結果公表を通して、過去2年とはまた異なる生活になりつつある人もいる中で、「どのようなストレスを感じ、どのように対処しているか」という情報を共有することで、コロナ禍だけでなく、日常でも役立つ新しいストレス対処法のヒントを見つけ、自身が普段行っているストレス対処法を見つめ直す機会にしていただけたら幸いです。

第一弾の結果はこちら

【アンケートの概要】

実施主体:東京大学相談支援研究開発センター ピアサポートルーム
回答方法:Webフォームへの回答 (https://ut-psr.net/2022/04/20/stress07-2/)
実施日:2022年4月20日~2022年5月5日
回答呼びかけ:ピアサポートルームSNS、UTAS掲示板、国際化教育支援室HP、教養学部前期課程HP、新領域創成科学研究科のメーリングリスト
回答件数:ECCSクラウドメールアカウントを持つ東京大学学生(院生・留学生も含む)から329件

【目次】

  1. 主な結果
  2. 項目ごとの結果
  3. ピアサポート活動の紹介

【1.主な結果】

コロナ禍における生活への順応に加えて、さまざまな制限が緩和されてきたことによって、コロナ関連のストレスは減少したといえそうです。一方で、対面授業によるストレスや、マスク生活に対する不満もあり、多種多様な受け止め方がみられました。学年によってもストレスの感じ方が異なり、今後広く学生の声を拾い上げた取り組みが求められそうです。

【2.項目ごとの結果】

Q1-4. 現在、以下の行動を1週間あたりどの程度行っていますか?  / Currently, how many times do you do these activities per week?(2021年回答523件, 2022年回答328件)

全ての行動について、昨年より頻度が高い結果となりました。中でも登校日数と対面授業のコマ数が大幅に増えていることが読み取れます。

Q1-5. 現在、人と話す機会は1週間にどの程度ありますか? / Currently, how often do you talk to people within a week?(2021年回答518件, 2022年回答324件)

昨年より、対面で家族以外の人と話す機会が増えたことが読み取れます。これは、登校日数や対面授業のコマ数が増えたことも一因なのではないでしょうか。

Q2. 現在、新型コロナウイルス感染症関連でストレスを感じていますか? / Do you currently feel any stress during the COVID-19 outbreak?(年度別)

2020年度から3年度分のストレス度合いの割合を示したグラフです。2020年度の回答項目に「どちらでもない」が含まれていないことを考慮すると、全体的にストレス度合いが下がっていることが分かります。
去年からの学生のストレス度合いを比較すると、ストレス低群(「全くストレスではない」、「それほどストレスではない」)の回答が、18%→34%、ストレス高群(「まあまあストレス」、「とてもストレス」)の回答が、68%→50%となっています。

Q2. 現在、新型コロナウイルス感染症関連でストレスを感じていますか? / Do you currently feel any stress during the COVID-19 outbreak?(学年別)

下図は学生の感じるストレスの程度を質問したQ2を学年別に分け、それぞれの選択肢の割合を棒グラフで示したものです。回答中のストレス低群(「全くストレスではない」、「それほどストレスではない」)の割合に着目すると、学部1年生及び修士1年生については共に40%を超え、感じているストレスが比較的小さいことが分かります。一方、ストレス高群(「まあまあストレス」、「とてもストレス」)の回答の割合に着目すると、学部2年、学部3年、学部4年生、博士1年、博士3年は50%を超え、学部2年生においては58%近くにまで達しています。また、「とてもストレス」の回答の割合は学部3年、博士2年に多く、共に2割を超えています。

昨年の結果と比べるとストレスを感じる学年、感じない学年に大きく変化があったことが分かります。
昨年の結果によるとストレスをとりわけ多く感じていた学年は学部1年、学部2年、学部4年、修士1年の4学年でストレス高群の回答の割合が7割を越していました。
これらの学年の今年のストレス高群の回答の割合は共に昨年よりも減少していましたが、その度合いが大きく異なりました。
学部2年、学部4年はそれぞれ57.9%、52.4%で今年の学年別割合からは比較的ストレスを感じている学年のままでしたが、学部1年、修士1年に関しては40.9%、45.8%と学年別割合からは比較的ストレスを感じていない学年になりました。
このことからは、学生の入学年次の環境が改善され、感じるストレスが減った可能性を指摘できます。

Q7. 大学にどのようなサポートが必要だと思いますか? / What support do you think is needed from the university?(2022年回答101件)

皆さんの回答に基づいて、共起ネットワーク図を作成しました。
一緒に出現する頻度の高かった語(共起した語)が線で結ばれ、グループ化されています。
円が大きいほど、その語の出現回数が多く、線が太いほど、語同士の関連性が強いことを表しています。
アンケートの回答の中で多く登場した語や、語同士の関連性について、円の大きさや線の太さに基づいて考察します。

・授業について
オンライン授業と対面授業に関する意見が、特に多く寄せられました。具体的には、体調などに合わせて、オンラインと対面を柔軟に切り替えて受講したいとの意見や、Wi-Fi環境の強化を望む声が見られました。
・交流機会について
学生同士で会話できるような、交流の機会が必要との声が多く寄せられました。また、オンラインと対面のギャップによるストレスについての記述や、その対処法を知りたいとの意見も見られました。オンラインに慣れていた分、対面への移行には戸惑いやストレスが伴うと考えられます。
その他の意見
学生へのサポートに関連して、入学以来オンラインの学生生活だった2020年度入学生への支援や、友達をつくる機会、学生の精神面へのケアが必要との意見が寄せられました。コロナによる対人面、精神面への影響は大きく、対応ニーズがあると考えられます。
大学でのコロナ感染が心配との声も寄せられました。大学で安心して過ごせるように、基本的な対策をしっかりと継続していく必要があると考えられます。

【3. ピアサポート活動の紹介】

ピアサポートルームとは?

ピアサポートルームは、東大生が満ち足りた学生生活を送ることを大切にしています。そのために、以下の6つの点に寄与することを目指しています。

  1. 心身の健康
  2. 居場所づくり
  3. 人とのつながり
  4. 役に立つ情報の交換
  5. 自己理解の深化
  6. 多様なものの見方の獲得

ピアサポートルームのHPやTwitter、LINE公式アカウントでイベント告知を行なっています。是非チェックしてください。

ピアサポートルームHP:https://ut-psr.net/

Twitter:
本郷キャンパス→ https://twitter.com/utpsr(@utpsr)
駒場キャンパス→ https://twitter.com/utpsr_komaba(@utpsr_komaba)
柏キャンパス→ https://twitter.com/utpsr_kashiwa(@utpsr_kashiwa)

LINE公式アカウント追加方法:https://page.line.me/joz2558e
LINEの「友だち」→「公式アカウント」→「東大ピアサポートルーム」で検索→「追加」を押す

Instagram:https://www.instagram.com/ut_psr/
note:https://note.com/utpsr
メルマガ:https://ut-psr.net/mail-magazine/